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高速バス運転士の話

高速バス運転士と言っても、乗務内容は路線バス運転士と何ら変わりません。
しかし高速道路を走る為、ちょっとした気の緩みで事故を起こせば大事故に繋がります。
また、路線バス以上にお客様と接することが多いので、接遇にも対応できなければ高速バス運転士は勤まりません。

高速バスのことについてご紹介します。

高速バス運転士の○(良いところ)
 
バスがいい
 
路線バスと比べると、高速バスの車両はグレードが高く、当然、乗り心地も良いです。
 乗り心地が良いということは、もちろん疲れにくいです。

 
また、路線バスにはない、装備が多々あります。
 一番好きなのは、ラジオが付いていること。
 路線バスの回送中はラジオが無いので無音。
 しかし、ラジオが付いていると、回送が楽しくなります。
 
その他、「運転席灯」があること。
 運転席灯というのは、読書灯のように運転席の真上にある明かり。
 真冬の早朝や、夜間など、タコメーターのチャート紙をセットする、書き物をする時など、便利です。
 クーラー、ヒーターも路線バスに比べ、効きます。
 

運転席周りは様々なスイッチが並びます。
車内の照明、装備品の電源、ミラーヒーターなど、
路線バスと比べたら2倍以上あるでしょうね。








バス停が少ない、立つお客様がいない

 
路線バスを乗務する際、系統にもよりますがバス停の数って多いですよね。
 乗るお客様、降りるお客様がいれば発車、停車の繰り返し。
 ちょっと走って止まり、またちょっと走って、また止まりという感じです。
 
ラッシュ時には車内に立つお客様もいるわけで、ブレーキ操作には大変気を使います。
 特に怖いのが事故回避の為、急ブレーキを踏んだ時の車内事故。
 路線バス運転士は常に周りの動向を確認し、運転しているのです。
 その点、高速バスでは、乗客全員着席するので、路線バスに比べ運転に集中できます。
 バス停の数も少ないので、楽です。
 しかし降りる際、バスが停車する前に、車内を立つ方がいます。
 路線バスには、つり革、手すりがありますが、高速バスにはありません。
 バスが完全に停車してから、席を立って欲しいですね。
 運転に注意しなければいけないのが、お客様が走行中、トイレを使用する時。

 運転席には「トイレ使用中」というランプがあり、ランプが点灯すると、「トイレ、使ってるな。」と分かります。
 気を使うのが、このトイレ使用中の間。
 なるべく段差での衝撃を与えず、カーブでのハンドル操作は丁寧に。
 用を足してる時に、揺れるとたまらないですからね。


バス車内のトイレはこんな感じです。
私自身、使用したことはありません。
100キロで走る中、進行方向とは逆に用を足すのですね。
車庫に帰ると、清掃の方が汲み取り作業をしてくれます。







客層が良い
 
路線バスを乗務していると、ストレスが多いんです。
 特に運賃を少なく入れるお客さんが多いこと。
 若い中、高校生に多いのですが運賃をごまかします。
 注意し、不足分を払えば良いのですが、逃げられることもしばしば。
 その度に、腹が立ちます。
 また、無愛想なお客さんが多いこと。
 ICカードを叩き付けるようにタッチする客。
 叩き付けるように運賃箱に現金を入れる客。
 路線に乗ってて、「ありがとう。」と言うお客さんは少ないですね。
 その点、高速バスに乗るお客さんは客層が良いんです。
 乗り込むときは「お願いします。」と乗り込み、改札で乗車券をもらう為、運賃をごまかす人はいません。
 降りるときも、「ありがとう。」と声を掛けてくれるお客さんがほとんど。
 運賃収受によるストレスが無いだけで、疲れ具合が異なります。

その他
 
目的地に着き、休憩中の間に郵便局(旅行貯金)に行ける。(めっちゃ嬉しい!!)
 
わずかですが、高速手当が付きます。
 ちょっとした旅行気分で乗務できる。
 ブレーキ、排気ブレーキが良く効く。
 路線バスは再生タイヤを使っているが、高速バスは新品を付けてくれる。
 見た目が格好いい。(バスが格好いい。)

 
高速バス運転士の×(イヤなところ)

高速道路は気を使う
 
路線バスはせいぜい出しても50キロ。
 高速は字の通り、高速道路を走るため100キロ出します。(実際は90〜95キロで走ります。)
 高速道路で事故を起こせば、大事故間違いなしです。
 高速道路で事故を起こせば、運転士職を辞することになるでしょう。
 もしかしたら事故死するかも。
 常に、車間を保ち、周りの車の動向を把握しなければなりません。
 高速は楽そうに見えますが、絶対に楽ではありません。
 
天気に左右される
 今まであまり気にしなかった天気予報を気にするようになります。
 特に冬の期間、1週間先までチェック。自分の住んでいる県だけでなく、走行する県の天気もチェックするようになります。
 一番気を使うのが、路面凍結!自分よりも周りの車がスリップし、巻き込まれるのが怖いんです。

通行止めが怖い
 
事故、天候により高速道路が通行止めになることがあります。
 住んでいる地域周辺なら、分かるのですが、離れると正直分かりません。
 昔なら、料金所のおじさんに教えたもらったのですが、今はETCだし。
 常に乗務の際、私物の地図を持ち歩いていますが、使わないことを願うばかりです。

洗車が面倒
 
路線バスでは無かったこと。
 それはフロントガラスに虫が付くことです。
 春〜秋の期間、高速道路を走り、車庫に帰るとフロントガラスは虫だらけ。
 洗車機に突っ込んだだけでは取れません。
 ブラシに洗剤を付けゴシゴシする必要があります。
 冬は虫が付かないのですが、凍結防止剤で車体が真っ白に汚れます。

バスから頻繁に降りる
 路線バスは運転席から離れることはありません。
 しかし高速バスでは、バス停の度に運転席から降り改札、トランクに荷物を積み込むため、頻繁にバスから降ります。
 その度にシートベルトもはずし、また装着しの繰り返しです。
 高速道路のSAで休憩し、出発する時は運転士が人数確認します。
 数え間違いで乗せ忘れたら・・・。
 想像するだけで恐ろしい。
 運転はもちろん、改札、トランクの扱い、車内案内、人数確認、これ全てをワンマンで行います。


高速道路を走行する一般車に言いたい!
 高速道路で事故を起こさず、巻き込まれない為にできること。
 それは車間を適正に保ち、スピードを抑え、周りの車の動向を把握し、いつでも危険回避できる運転姿勢をしていることだと思っています。
 しかし、ルールを守らない車が多いこと。
 その一部をご紹介します。

速度を守らない
 高速道路の最高速は100キロです。
 これを守らない車が多すぎます。
 どう見ても120、130キロ出てる車が多いです。
 特に営業マンが乗るライトバン。
 中には180キロ?というセルシオ、センチュリー、ベンツに乗る、暴○団と分かる車も。
 トラックは基本的にマナー良く走っていますが、魚を運ぶトラックは速いです。
 基本は100キロですが、雨、雪、霧など、天候に応じて速度を抑えましょう。
 逆に低速すぎる車に出会うことがあります。これまた危ない。
 コンビニに配送するトラック。
 中でもヤ○ザキパンのトラックは60〜70キロで走ってます。
 荷台の後には「80キロ以下で走ります。」のステッカーが。
 あまりにも低速だと追突の危険があります。
 
車線変更が不適切
 車線変更する際は、追い越し車線の状況を良く確認し、ウインカーを出し、ゆっくりと車線変更します。
 走行車線に入るときも、走行車線の状況をよく確認、ウインカーを出し、ゆっくりと車線変更します。
 これを守れない一般車が多すぎます。
 特に追い越し車線から、走行車線に戻る時。
 走行車線の後続車との車間を保たず、割り込んでくる車が多いです。
 ウインカーをほんの1秒しか出さず、出してすぐに車線変更する車も多し。
 
SAでの駐車区分
 
SAで駐車する際、普通車用と、大型車用に分けられています。
 これを守らない一般車が多いこと。
 特に連休や夏休みの混雑時。普通車の枠がいっぱいで大型車の枠に止めるのです。
 こうなるとバス運転士は駐車するのに苦労させられます。
 たまに観光バスで、堂々とトイレ近くの普通車の枠に止めるマナーの悪い運転士もいますが・・・・。


高速バスを利用の際、協力して欲しいこと
 改札時、往復の乗車券をそのまま差し出す方がいます。
 あらかじめ、乗車する便の分だけ自分でちぎり差し出してくれると助かります。
 運転士が気付かずに帰りの分の乗車券ももらってしまうことも。
 運転士はSAで休憩中に、乗車券を再確認する際、「あらら、帰りの乗車券までくっ付いているわ。」とお客様に返すことがよくあります。

 バスは鉄道と違い、道路状況により遅れて着くことがあります。
 改札時、「○時までに着きますか?着かないと困るんだけど。」と言うお客様がいます。
 天候状況、道路の混雑などにより到着時刻は変わるものです。
 それを了解してバスを利用すると思うのですが・・・。