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路線バスの動かし方

路線バスの動かし方
 バスと言っても、基本的な仕組みは乗用車と何ら変わりません。
 
 まずはバスに乗り込みましょう。
 乗用車であればリモコンロックがありますが、バスにはありません。
 当たり前ですが。(でもバスにもあったら便利!将来実用化なるか?)
 カギで前ドア付近にあるBOXを開けると、ドアを開けるスイッチがあります。
 スイッチを動かすと、「プシュー」とエアーが抜ける音を立てながらドアが開きます。
 空気圧を利用している点が、乗用車と異なります。
 ドアの開け閉め、ブレーキもエアーを使っています。
 空気圧はバスの命とも言えます。
 また、一部のバスは手動でエアーを抜き、ドアを手で押し開けるタイプもあります。
 年数が経ったバスではエンジンを切るとエアーが抜け、スイッチを動かしてもドアが開かないバスもあります。
 いずれもエンジン始動後、エアーが溜まり運転席のスイッチでドアの開け閉めができます。

 次にエンジンをかけましょう。
 乗用車はエンジンキーを回すとエンジンがかかりますが、バスの場合、キーを回す前に1つ操作があります。
 「バッテリースイッチ」(メインスイッチ)と言われるものです。
 バッテリースイッチを先ず操作し、エンジンキーを回すとエンジン始動です。
 バッテリースイッチを入れなければ、エンジンキーを回してもエンジンはかかりません。
 バッテリースイッチは電気の元です。
 エンジンを停止してもバッテリースイッチが入っていれば、LED方向幕、整理券発行機などのワンマン機器の電気系統は作動しています。
 1時間ほどエンジンを停止し、バッテリースイッチが入っていても、バッテリーは上がりません。(但し、バッテリーが弱っている場合は除く。)
 バッテリースイッチを切るのは食事に出る時、1日の乗務を終える終業時ぐらいです。
 終業時にバッテリースイッチを切るのを忘れると、翌朝、バッテリー上がりを起こします。
 
 エンジンは頻繁に切ります。
 Co2を排出しない、燃料費の節約などありますが、何よりもうるさい!
 特に住宅地での回転場では1分以上、時間がある場合、必ずエンジンを停止します。
 この住宅地では例え真夏の30℃でも、真冬の氷点下でもエンジンを停止します。
 郊外でも真夏、真冬以外の過ごしやすい季節はエンジンストップです。

ハンドルは乗用車よりも当然大きいですが、
体全体でハンドルを回す為、逆に乗用車よりも
操作しやすいと思います。

ホーンも乗用車と同じ、ハンドルの中央に付いています。
音は車種によって音色が違いますが、大きな音です。





 基本的にホーンは滅多に使わない。
 よほど危険な歩行者、車に出会ったときに警告で使う。
 対向車などにお礼をするときは、手を上げて合図します。
 夜間で手を上げても見えないときは軽くホーンを鳴らします。
 ホーンもエンジン音同様、音が大きい為、住宅地、病院などでは迷惑となります。

ギヤは「フィンガー」と呼ばれる形が、現在の主流です。
昔のバスは床から長いギヤの棒が延びていましたが、
このフィンガータイプは力もいらず、簡単にギヤが
入ります。ギヤを替えるのもエアーを利用しています。
通常は5速ですが、一部6速もあります。






 自動車学校では、マニュアル車の場合、エンジン停止時、1速かバックと習います。
 このフィンガーの場合、必ずニュートラルにし、サイドブレーキをかけます。
 ギヤを入れたままだと、エアーが抜けきる為です。

 ギヤの右となり、こぶしのようなレバーは、サイドブレーキです。
 これもエアーを利用しています。
 終点に着くと「プシュー」と大きな音が聞こえるかと思いますが、これがサイドブレーキをかけた音です。
 従来の引くタイプと異なり、確実にサイドブレーキをかけることができます。
 その右となりに見えるのは、私の左足です。(笑)

 アクセル、ブレーキ、クラッチも乗用車と変わりありません。
 但し、ブレーキは「エアーブレーキ」の為、初めての人は操作に慣れを必要とします。
 かかる力が大きい為、優しく踏まないと急ブレーキがかかります。
 アクセル、ブレーキは床から生える、オルガン式になっています。
 毎日、乗務する車両が替わるため、朝、始発地に向かうまでにブレーキのかかり、
 クラッチのつながる位置を、体に覚えさせなければいけません。
 なぜか、アクセルにはA、ブレーキにはBと彫られています。
 運転しながら見ることはありませんが。

 ハンドル右に付いている方向指示器、ライト、は乗用車と全く同じです。
 左はワイパーまでは同じですが、ハザード、排気ブレーキの機能がついています。
 手前に引くとハザードが点灯、戻すと消灯します。(一部車種、奥に倒すと点灯、戻すと消灯 のタイプあり。)
 バス停より発車時、後続車に道を譲ってもらうことが多いのでハザードを使う機会が多く、ハンドルに付いていると便利です。
 排気ブレーキは坂道の下りなど、補助ブレーキとして使用します。
 日野、日産は手前に倒すとブレーキがかかり、ふそうは奥に倒すとかかります。
 排気ブレーキはアクセルを離すとかかり、クラッチを踏むと切れます。
 この時、ブレーキペタルを踏まなくても、ブレーキランプが点灯します。
 よく高速バスの後に「補助ブレーキ作動中、ブレーキランプが点灯します」と書かれているのは排気ブレーキがかかっていますという意味です。
 坂道以外の平坦な道で3速位で排気をかけると、前のめりにブレーキがかかり危険です。
 路線バスでは山間部の下り、郊外でスピードを出している下り以外は使いません。
 高速バスではIC、SAに入る際、500m手前で6速から5速に減速、排気をかけ、さらにシフトダウンで減速して行きます。
 高速バスにおける排気ブレーキの役割は重要です。