ワンマン機器の設定
ワンマン機器の設定
ワンマンバスは車掌が乗務していなく、字の通り運転士1人で乗務しているバスです。
そのため運転士は運転と車掌業務を行わなければなりません。
それを手助けするのが「ワンマン機器」と呼ばれるものです。
音声合成装置(車内放送装置)
この機械に運行系統の番号を入力します。
すると、その便の車内(車外)放送が流れます。
モニター部には、行き先、次の停留所名、
現在の時間などが表示されます。
交番によって使用するバスが決まっていますので、
あらかじめ運行する系統番号が、
メモリー入力されています。
ここに表示される時刻は、ほぼ正確な為、運行中、この画面を見ながら運転します。
また、系統によっては走行ルートがややこしい場合もあり、誤ったルートを行かないよう、
この画面に表示される、次の停留所を確認し運転します。
スターフ(運行表)とこの画面で、行き先、通過時間を確認するのです。
方向幕がLED幕の場合、音声合成を入力すると方向幕も連動し自動表示されます。
但し、一部のバスは連動しないものもあります。
連動しないバスや、音声合成で入力した系統で、方向幕を「臨時」や
「貸切」にしたい場合は、直接操作盤で方向幕を操作する必要があります。
それが下の画像の左の機械になります。
運賃表示機、整理券発行機
このタイプは運行系統の番号を入力すると
運賃表示機と整理券発行機の設定が、連動して設定できます。
運賃表示機の早送り、戻しもできます。
運行中、お客様より「○○まで運賃いくらですか?」と
聞かれたとき、分からなければ、この機械を操作し
運賃表示機を早送りし、確認できます。
整理券発行機については、現在出ている整理券番号、発券中のランプ、紙無しのランプ、
紙つまりのランプが表示されます。
この画像は整理券発行機の内部のものです。
感熱紙のロールに印字し、整理券が発行されます。
2つのロール紙がセットされており、1つのロール紙が
無くなっても、もう1つのロール紙で印字されます。
入口のドアを開けると、整理券が発行され、発車後
5秒後位に券の出口が閉じます。
音声合成が次の停留所を放送すると、印字された
番号の整理券は切断され、次の番号が印字されます。
出庫前はロール紙の残量をチェック。残りが少ない場合は、予備のロール紙を持って出庫します。
入庫後は切断された整理券を取り除きます。これを怠ると紙詰まりをおこしやすくなります。
車両によって、ワンマン機器のセット数が異なります。
音声合成+運賃表示機
音声合成+運賃表示機+整理券発行機
音声合成+運賃表示機+整理券発行機+方向幕操作盤のタイプです。
最近の車両は2つセットすれば完了ですが、古いバスの場合、4つセットする必要があります。
始発時、入口のドアを開ける前に確実にワンマン機器を
セットし、「始発ボタン」を押します。(画像右側のボタン)
1つでもセットに間違いがあると、全てが狂い、
お客様にご迷惑がかかるだけではなく、自分自身が
一番慌ててしまいます。
始発を出発後、25mバスが進むと車内放送が
流れます。その後、入口か出口のドアを開けると
バス停に着いたと認識します。ドアを閉め25m進み、
車内放送が流れるという繰り返しです。
バス停に降りるお客様も、乗られるお客様もいなく、バス停を通過する場合は「通過ボタン」
(上の画像大きな赤いボタン)を押します。すると車内放送が流れます。
このように、ドアの開閉、通過ボタンによりワンマン機器の全てが連動で作動します。
始発前のドアを開ける前に、ワンマン機器の設定を確認することが重要です。
バス停を出発後25m進み車内放送が流れた後に、お客様が乗りたいと言った時、
車内放送が流れた後に、お客様が「降車ボタン、押すの忘れた。降ろして。」など、
バス停以外でドアを開閉させると、手作業で1つ前のバス停の状態にワンマン機器を修正しなければなりません。
また、自分の前にバスが何台もいて、バス停に着く前に、先に降りるお客様を降ろし、
バス停が空いたら、乗るお客様を乗せることもあります。
あらかじめ、この距離が25mを超えそうな場合は、始発ボタンを押すことにより車内放送を止めることができます。
新人運転士のころは、このワンマン機器の扱いが難しく感じたものです。
特に車内放送が進み、修正する場合や、ワンマン機器の設定に1つでも誤りがあり
それに気付いた場合には、運行中、オロオロになったものです。
また、中途採用者で年配の運転士の方は、ワンマン機器の操作を覚えるのが一層苦労するようです。
最後にお客様にお願いします。
着発(終点について、折り返し始発で運行)の場合、お客様が全員降り、
乗るお客様が入口のドアを開くのを待っている時、「早く、ドア開けろよ。」と思うことありませんか?
このとき運転士は、次の便のワンマン機器の設定をしているのです。
慣れれば5秒、遅くても10秒。
せかさずお待ち頂くようお願いいたします。