現在地 トップページバス運転士の話>路線運転士職の○と× 

路線運転士職の○と×

運転士職は長所もあれば、短所もあります。
どの職業も同じく長所、短所はあるかと思いますが、特に運転士職は短所が多い職業です。
何と言っても賃金です。
他にも勤務時間などなど・・・。
独身者であれば何ら問題はありませんが、既婚者は家族の支えがないと続けれません。
皆さんに運転士職の大変さを少しでも理解して頂き、
これからバス運転士を目指す方には良いところだけでなく、大変なところも確認して欲しいと思います。
苦労も多い職業ですが、やりがいはその倍ある不思議な職業でもあります。

路線運転士職の○(良いところ)

憧れのバスを運転できる。
 バス運転士になろうと思ったきっかけは、「バスが好きだから。」だろうと思います。
 そういう私もバスが好きだったからです。
 母親の知人にバス運転士がおり、子供の頃かわいがってもらいました。
 小学校の下校中、歩いているとバスとすれ違い、クラクションを鳴らし手を振ってくれたり、
 回転場へ自転車で遊びに行き、バスに自転車を乗せ、家の前で降ろしてくれたり
 (昔ならではの話。今の時代なら他のお客から苦情が出そうですが・・・。)、そういう出来事もありバス運転士に憧れていました。

運転していて気持ち良い
 
路線バスの全長は11mあります。
 幅も高さもあり、まるで家を動かしているようです。
 運転していると、さほど大きさを感じませんが、バスから降りると大きさを感じます。
 運転席は視界が良く、運転していて気持ち良いんです。
 (トラックは運転したことがないが、もっと視界が良いので気持ち良いはず?)
 行き違いや譲り合いの時、同僚運転士や一般ドライバーから手を上げられたり、クラクションを鳴らすコミュニケーションも気持ち良いんです。
 視界が良いので自家用車よりも、疲れにくいと思います。

制帽が格好良い
 制服が支給されるので、サラリーマンのようにスーツ代が不要です。
 また、定期的に新しい制服が支給されるので、制服の痛みの心配はいりません。
 運転士といえば制帽!新人運転士でも制帽をかぶればベテランのように見えます。
 仮にハゲてても、制帽をかぶれば格好良く見えますよ。

個人プレーなので気楽
 路線バスの運転士はワンマンです。
 サラリーマンのように上司、同僚、部下に気を使うことなく運転に集中できます。
 仮に嫌いな運転士がいたとしても、挨拶しとけばそれで良し。
 車内は1人なので他の人に気を使わず気楽です。
 例えばサラリーマンで退社時間になり、他の人が残業をしている中、「お先に〜」って帰りにくいですよね。
 運転士職は出勤時間に出社、退勤時間に堂々と退社できます。

給料を自分でUPできる
 現代のサラリーマンは残業しても、なかなか残業代がつきません。
 管理職であれば、安い手当てが付いて上限無しで働かされます。
 その点、バス運転士職は乗務すればきちんと手当てが付きます。
 お金が欲しければ、時間外、休日出勤して手当てを付けます。
 休みたければ、時間外、休日出勤を断れば良いだけの事。
 サラリーマンで、「お金欲しいから残業します。」とは難しいですよね。

時間を有効に使える
 私の会社では、早番、遅番、中休、長線の4パターンの交番があります。
 例として、早番 6:00〜14:00
       遅番 13:00〜22:00
       中休 6:30〜12:30・17:00〜21:30
       長線 6:30〜19:00といった具合です。
 空いた時間を有効に使うことができます。
 例えばサラリーマンが銀行とか、役所に行くのはお昼休みの時間しか無いですよね。
 でもこの仕事なら、シフト制なので銀行、役所、病院に行きやすくなります。
 平日に休みが多いので、平日にスキーに行くと、いっぱい滑れるなどの特典もあります。

子供と遊ぶ時間が作れる
 平日は、子供の姿を寝ているところしか見たことが無いというサラリーマンもいるでしょう。
 この仕事なら、逆に子供との時間が増えます。
 子供の登校を見送ってから出勤したり、子供が学校休み期間は、一層時間が作れます。
 子供が学校から帰ってくるのを出迎えるのは、サラリーマンでは。まずできません。

心にゆとりができる
 サラリーマン時代は働きっぱなしでした。
 早朝に家を出、深夜に帰宅。
 当時管理職をしていた為、休日でも会社の部下から電話は掛かってくる。
 公休は何とか消化できても、夏期休暇など一切取れず、休みの希望も取れず。
 安い役職手当だけで、永遠に働きっぱなしでした。
 バス運転士職は、自分の交番を乗務すれば1日は終わり。
 有給も気軽に取れます。繰越分を完全消化するほど取れます。
 明日の会議の資料を作らなくても良いし、今月の売上を気にする必要もありません。
 休憩時間は同僚運転士と話をし、畳に横になりテレビを見、好きな本を読んだり、コーヒーを飲んだり、
 今日は天気が良いなぁと空を見上げたり、花、鳥のさえずりを聞いたりと人間らしい生活がおくれます。
 季節感を感じることのできる仕事でもあります。
 春は桜のきれいな道を走り、夏は薄着になる女性を眺め?(笑)、秋は紅葉の山間部を走り、
 冬は「おいおい、路面凍結してるよ〜」とヒヤヒヤ運転を楽しめます。
 また、同じ道を走っていても「新しい店出来たなぁ。」など移り行く風景を楽しめます。

体が楽
 荷物を持つことも無く、車内はエアコンが効いているため快適です。
 暑い夏は涼しい顔をして運転し、寒い冬はぽかぽか車内で運転します。

路線運転士の×(イヤなところ)

給料が安い

 これから運転士職を目指す方は慎重に決断しましょう。
 独身者であれば不自由する金額ではありませんが、既婚者では本当にキツイです。
 子供が成長するこの先が不安です。
 時間外、休日出勤をしなければ生活できる金額は貰えません。
 その結果、休日無しで乗務したり、貸切の夜行乗務したりとなります。
 若いうちは時間外、休日出勤できますが、年を取れば体にこたえると思います。
 昇給はありますが、無いに等しい金額です。退職金も同じです。
 人の出入りも激しい職業でもあります。
 退職理由は給料の安さが多いです。
 人命を預かる大変な仕事ながら、賃金に合っていないと思います。

ストレスが溜まる
 
バスを運転中、平坦な道ばかりではありません。
 坂道発進、後続車が多い中でのバス停発車、狭い曲がり角、細い道での行き違い、
 危険な歩行者、自転車、自動車などなど、書いたらきりがありません。
 また走行中にも両替に動く乗客、バス停からはみ出して待つ乗客など、運転中は神経をすり減らします。
 体は動かさないが、神経を使いクタクタに疲れます。
 また、不正乗車する客、平気で車内にゴミを残す客も多く、腹が立ちます。
 渋滞に巻き込まれバスが遅れると、お客からは文句を言われ、休憩する時間も無く折返し運転、
 おしっこも我慢しながら運転などなど、本当にストレスが溜まります。

休日に休みが取れない
 平日に休みが多いので、休日に休みが少ないです。
 休みの希望を出せば、シフトで土日に休みなら話は別ですが、基本的に盆も正月も関係ありません。
 その為、子供がいれば奥さんに子供の面倒を見てもらう必要があります。
 一般サラリーマンのようにGWや正月に7日間休暇というのは、まずありません。

拘束時間が長い
 
私の場合は会社と家の距離が近く、問題ではありませんがそうでない人の場合です。
 仮に中休で、6:30〜12:30・17:00〜21:30の勤務を考えましょう。
 通勤に30分かかるとしたら6:00には家を出ます。
 12:30に一度勤務を終え、17:00まで4時間30分休憩がありますが、
 家に帰り、また会社に来ると1時間かかるため、会社の休憩室にこもります。
 21:30に勤務を終え、家に帰れば22:00です。
 すなわち、家を出てから帰るまで16時間にもなります。
 会社の休憩室にいても、なかなか疲れは取れません。
 賃金と共に、拘束時間の長さで辞めて行く運転士が多いんです。


私の結論
 現在の不満は賃金のみです。
 今は問題なく生活できていますが、子供達が成長し学費にお金がかかる頃が不安です。
 定年まで、ほとんど昇給無いのも悲しいですね。
 退職金もわずかな額。
 老後は安心して暮らせるのだろうか?、など不安は付きまといます。

 私のようにバスが好き、運転がすき、他人に気にせず気楽に仕事をしたい人には向いています。
 見た目はハンドルを回すだけですが、苦労も多いですよ。
 これから運転士職を目指す方は、まず家族の了解を得、協力を得ること。
 私の結論は、バス運転士が天職です。