これからの日本

日本の社会が乱れているといわれるようになって久しいですが、その原因がどこにあり、どうしたらいいかを考えなければなりません。

東日本大震災で、日本人が心を一つに頑張ろうと言う意識を持ったのは、日本が敗戦から立ち直ろうとしたときと似たような気持ちになったからではないでしょうか。
 みんなが助けあおうとする気持ちは、幼い頃から持っていたいものです。
 戦後、貧しい生活を乗り越え、少しでも豊かになりたいと必死で頑張った結果、日本は国際的に躍進できたのだと思います。

けれども、その間、親が我が子の幸せを願うあまり、高学歴を目指す教育に偏ってしまい、学歴を偏重する社会は子供たちを受験戦争の戦士にしてしまいました。
 力の弱い友達を思いやり、助けようとする優しさを忘れ、自己の成功だけを夢見る志向は、やがて、様々な詐称事件や犯罪を多発するようになりました。いじめが起きてもそれを防げないのはなぜでしょう。
 自己保身するために、実態を明確にして問題と正面から真剣に向き合おうとしない人が増えたように感じます。何もかも隠蔽してしまおうとする体質は、今の日本に何を生み出しているでしょうか。

互いに競争して自分を高めることは無論必要です。しかし、受験を目的とした教育は、子供たちが自己の適性を見出せないまま、高学歴だけを目指し、人間としての生きがいある生涯設計を阻んでいます。受験競争の軌道を外れた子達は、疎外感から無気力となり、働くことにも勉強にも意識が向きにくくなっていく現実を、どうしようもないのではないでしょうか。

 また一方で、せっかく高学歴を得ても職場でそのまま役立つものは少なく、結局もういちど専門教育を受けなおすという場面も増えたようです。
 若い人は体を使って働くことを嫌う傾向になり、社会が第三次産業に偏り、食物や工業の生産力が落ちました。子供の受験教育偏重から来る、教育費をおさえたいということが、少子化の一因ともなっています。少子化は高齢化と一体で、不足する労働を海外に求めるようになり、国内の産業の空洞化を招き、日本の国際社会からの衰退が始まりました。

これらの問題を解決するには、教育制度の中に、子供たちが自分のやりたいことや自己の適性について見つめる時期や時間が必要なのです。

定時制高校では、日中労働して、夜間に勉学するシステムで、その日に職場で生じた疑問を学校で教わって解決したり、学校で学んだことを翌日現場で体験することで、経験をつみながら技術を体得できます。このように学習に相乗効果を生み、有意義な教育が出来ていることはあまり知られていません。

過去に「ゆとり教育」が取り入れらましたが、弊害だけが残ったように、制度を小手先に変えても混乱を招くだけです。
 「中高一貫教育」にも私は期待していません。これも単なる受験対策だからです。

 このことから、私は、これらの問題を解決するために、具体的にどこに手を加えたらいいのかを考えてみました。そして得た結論がこれでした。

 義務教育を終え、社会参加を本格的に意識する時期といえば高等学校になります。今では高等学校への進学率は100%に近くなりました。
 そこで高等学校を4年制とし、「最初の2年間は全日制なのですが、後半の2年間は定日制」として、週の半分ずつを、学校と、社会参加にあてるのです。

 これによって、自分が自分の人生で何をやりたいかを考えてみることと、社会に出て活躍するために自己の適性がどうなのかを発見させる機会にすることであると考えています。
 すなわち、ただ学歴を得るために突き進んできた受験戦争のレールから、ここでいったん冷静になり、自分が進む道をゆっくり考えることです。

 社会参加は、企業における就労体験に限らず、社会奉仕活動に参画することにも意義があるでしょう。
社会参加で実績を評価する必要があるかどうかは今後の課題です。
 自分が将来何をやりたいのか、自己の適性が何かを自分の力で発見できれば、その後の人生設計をしっかり立てることができるでしょう。そうすることで友人を思いやる心のゆとりが芽生え、みんなが自信を持って生きがいのある人生をまっとうできれば、社会が安定してくると思います。
 高校を4年制とすることは、単位数から現行の教育レベルを維持するためですが、問題は、定日に子供たちを受け入れるためには、都市や地方など、環境に格差がある地域社会が現実にどのように対応すればよいかを検討し、その容量や態勢整備を行うことです。

 義務教育を終え、社会人として生きていく進路を考える高校の時期が最適で、この時期に実際に社会参加してみることで、社会の現実を知るとともに、自己の志望と適性を見つめ、目標が定まれば、その後に進む高等教育に熱心に取り組むことが出来、ひいては日本の国力に結びつきます。

今のままの日本がよくないとすれば、このまま放置せず、早急の対策が必要ではないでしょうか。
 家庭と学校と社会が3本の力をあわせ、子供たちの将来を見守りたい。みんなが心にゆとりを持ち、本当の意味で豊かな日本になるための方法の一つとして提案します。
 (私のライフワークとして、このことに力を注いでいたのですが、健康を害したため、今は音楽などの創作をしています。)


                           ::::: ドクトル・ロンド :::::
       


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