略  解

    問題番号:101-1 101節 の 問1 を示す。

    論理記号として  ⇒ , ⇐ (ならば)
                     ∴(ゆえに)、∵(なぜならば)、∧(かつ) 、∨(または)
    を適宜用いる。


101-1 a + c = b + c の両辺に -c を加えて 

               (a + c) + (-c) = (b + c) + (-c)  
     (2)により a + (c + (-c)) = b + (c + (-c))
     (8)により a + 0 = b + 0  
     (6)により a = b  //               

101-2 (4) , (5) , (9) , (8)
                                       
                                              戻る

102-1 (1) m|a , m|b より a = hm , b = km と表される( h , k は整数 )。
     
     ゆえに a ± b = hm ± km = ( h + k )m  ゆえに m|( a ± b )    //

      (2) m|a より a = hm, ab= (hm)b= h(mb)= h(bm)= (hb)m  ゆえに m|ab //
 
      (3) a|b , b|c より b = am , c = bn と表される( m , n は整数 )

          ゆえに c = bn = (am)n = a(mn) ゆえに a|c        //
                                                          戻る

102-2 |ab| = |a||b|a = mq + r とすると a - a = 0 = m・0 ゆえに a ≡ b   //

      a ≡ b ( mod m ) より a - b = km 

        ゆえに b - a = -km = (-k)m  ゆえに b ≡ a ( mod m ) //

      a ≡ b ( mod m ) より a - b = km , b ≡ c ( mod m ) より b - c = hm 

        ゆえに a - c = a - b + b - c = ( a - b ) + ( b - c ) 
                     = km - hm = ( k - h )m

        ゆえに a ≡ c ( mod m )        //
                                                          戻る

103-1 (4) |ab| = |a||b|
          a ≥ 0 , b ≥ 0 のとき ab  ≥ 0 
            だから |a| = a , |b| = b , |ab| = ab     
                                              ゆえに |ab| = |a||b| 

          a < 0 , b ≥ 0 のとき  ab  ≤ 0 
            だから |a| = -a , |b| = b , |ab| = -ab = (-a)b 
                                              ゆえに |ab| = -ab = (-a)b 
                                              ゆえに |ab| = |a||b|  

          a ≥ 0 , b < 0のとき  ab ≤  0 
              だから |a| = a , |b| = -b , |ab| = -ab = a(-b) 
                                              ゆえに |ab| = |a||b| 

          a < 0 , b < 0 のとき ab > 0 
             だから |a| = -a , |b| = -b , |ab| = ab = (-a)(-b) 
                                               ゆえに |ab| = |a||b| 

        ゆえに |ab| = |a||b| は成り立つ //

      (5) 略                                   戻る          

103-2  a > 0 ならば a2 > 0・a = 0  
       a < 0 ならば -a > 0 ゆえに a(-a) < 0・(-a) = 0 ゆえに -a2 < 0  
      ゆえに a2 > 0  //

    この証明から、|a|2 = a2 が成り立つことが分る。これを公式とする。     
                                                              戻る


103-3 (1) 上の公式を用いる。
     a2+b2-2|ab|=|a|2-2|a||b|+|b|2=(|a|-|b|)2 ≥0 //

      (2) a2+ab+b2 = (a+b/2)2+(3/4)・b2≥0 //
                                戻る


201-1 3n ( n は整数 ) の形の数は (1)〜(7) を満たす。ゆえに 環 である。

   ただし、1 は 3 の倍数ではないから (8) をみたす e とはなり得ない。
   よって整域 ではない。//              戻る

201-2 a2 = a と(8)により aa = ea ∴ aa - ea = ( a - e )a = 0
      (9) により a - e = 0 ∨ a = 0 ∴ a = e ∨ a = 0    // 戻る





203-1 a+b ( a,bは有理数 ) について
   (a+b)+(0+0)=a+b,     (a+b)+(-a-b)=0+0
      すなわち 0+0は零元であり、a+b(a,bは有理数)の全体は環である。
   また、
   (a+b)×<1+0)=a+b      すなわち 1+0は単位元であり
   (a+b)×(x+y)=1+0 とおくと、x=a/(a2-3b2) , y=-b/(a2-3b2) 
      すなわち x+yはa+bの逆元であり、
      a+b(a,bは有理数)の全体は体である。 
                                                  戻る

203-2  
         戻る

203-3  任意のa,bε;Qについて(a,b)のぜんたいをPとし、Pのなかでは
    2つの演算 (a,b)+(c,d)=(a+c,b+d) , 
          (a,b)・(c,d)=(ac-bd,ad+bc) が定義されている。
    Pの任意の元をp=(a,b) , q=(c,d) , r=(e,f)としてPが体の
       条件をみたすかについて簡単に検証する。
  (1) p+(q+r)=(p+q)+r
  (2) p+q=q+p
  (3) p+O=p O は O=(0,0) である。
  (4) p+x=0 x は x=-p=(-a,-b) である。
  (5) p(qr)=(a,b)((c,d)(e,f))=(a,b)(ce-df,cf+de)
           =(a(ce-df)-b(cf+de),a(cf+de)-b(ce-df))
           =(ace-adf-bcf-bde,acf+ade-bce+bdf)・・・・・・(*1)
      (pq)r=((a,b)(c,d))(e,f)=(ac-bd,ad+bc)(e,f)
           =((ac-bd)e-(ad+bc)f,(ac-bd)f+(ad+bc)e)
           =(ace-bde-adf-bcf,acf-bdf+ade+bce)
           =(ace-adf-bcf-bde,acf+ade-bce+bdf)・・・・・・(*2)
      (*1),(*2)より p(qr)=(pq)r は成り立つ。//
 (6) pq=(a,b)(c,d)=(ac-bd,ad+bc)
      qp=(c,d)(a,b)=(ca-bd,cb+da)=(ac-bd,ad+bc) ∴pq=qp  //
  (7) p(q+r)=pq+pr,(q+r)p=qp+rp 略
 (8) 単位元はε=(1,0) である。
  (9) pq=(a,b)(c,d)=(ac-bd,ad+bc)=0 ならば ac-bd=0,ad+bc=0
      ∴(a2+b2)(c2+d2)=(ac-bd)2+(ad+bc)2=0+0=0
      ∴a2+b2=0 or c2+d2=0
      ∴p=0 or q=0  //
  (10) (a,b)(x,y)=(ax-by,ay+bx)=(1,0) より ax-by=1 , ay+bx=0
       これを解いて、x=a/(a2+b2),y=-b/(a2+b2)
       x,y は有理数である。ゆえにp( ≠0 )の逆元は存在する。
 よって P はこの2つの演算において体をなす。   戻る

203-4  a+bi→a-bi , c+di→c-di とする。このとき、
       (a+bi)+(c+di)=a+c+(b+d)i , (a-bi)+(c-di)=a+c-(b+d)i)
                                ∴a+c+(b+d)i)→a+c-(b+d)i)
       (a+bi)・(c+di)=ac-bd+(ad+bc)i , (a-bi)・(c-di)=ac-bd-(ad+bc)i
                                ∴ac-bd+(ad+bc)i→ac-bd-(ad+bc)i
    よって a+bi→a-biなる対応は2つの演算 + , ・について
        同型対応である。
                                                        戻る





301-1 右表の通り。単位元は b 

301-2 
正方形を移動して頂点1234がABCDになったことを(ABCD)
とかくことにすると、その移動はつぎの8個になる。

       e=(1234) , a=(2341) , b=(3412) , c=(4123)
          p=(24) , q=(13) , r=(14)(23) , s=(12)(34)

    これらの移動について、乗積表(群表)をつくる。   
    例:ab=(2341)(3412)=(4123)=c 以下略。  戻る

301-3 (ab)(b-1a-1)=a(b(b-1a-1))=a((bb-1)a-1)=a(ea-1)
               =a(a-1)=aa-1 = e
       同様にして (b-1a-1)(ab) = e  //     戻る

301-4  すべての群表の形を書き下してみる。有限個(数個)の群表だから
    すぐ終る。
    どの群表も左対角線に関して対称であることを確かめればよい。
                                                    戻る

302-1  a≡a(mod H)
       a≡b(mod H) ⇒ aH=bH ∴bH=aH ∴ b≡a(mod H)
       a≡b(mod H),b≡c(mod H) ⇒ aH=bH,bH=cH∴aH=cH∴a≡c(mod H)  
       ゆえに同値律をみたす。 // 

    a∈H  ⇒  ca∈aH
       b∈H  ⇒  cb∈bH
       a≡b(mod H) だから aH = bH = H ∴ ca∈H , cb∈H 
       ∴ ca≡cb(modH) //
                                                 戻る


302-2  a の逆元が x , y ( x  y ) の2個あるとすると、
           ax = xa = e   (1) 
           ay = ya = e   (2) 
     だから
           y=ye=y(ax) = (ya)x = ex = x  
      ゆえに y = x となって矛盾。
    したがって対応 a→a-1 は1対1である。

        たとえば
    1 , -1 からなる乗法の群 G = { 1 , -1 } を考える。
    G における対応f: 1→-1 , -1→1 
    では 1・(-1) = -1 しかるに f(1)f(-1) = (-1)・1 = -1f(-1)
       ゆえに G における対応 f は同型対応ではない。// 戻る

303-0    
           (1)  (123) (132) (23)  (13)  (12)     //戻る

303-1  S3の元は n!=6個 であるが、S3の部分群(すなわち演算において
   閉じていて逆元の存在する集合)は次の4個である。

      {1,(12)}, {1,(13)}, {1,(23)}, {1,(123),(132)}   // 戻る

303-2  前問のとおりS3の部分群は4個ある。そのうち {1,(123),(132)}は
    偶置換だけからなる交代群である。

    3次の交代群A3の元の個数は 
       3・2・1/2=3 すなわち 1, (123), (132) の3個      //  戻る

303-3 4次の対称群 S4の元をそれぞれを互換の積に分解しながら書くと・・・
   ・(1234)=(1)                 ・(3124)=(132)=(13)(12)
    (1243)=(34)                  (3142)=(1342)=(13)(14)(12)
    (1324)=(23)                ・(3241)=(134)=(13)(14)
   ・(1342)=(234)=(23)(24)        (3214)=(13)
   ・(1423)=(243)=(24)(23)      ・(3412)=(13)(24)
    (1432)=(24)                  (3421)=(1324)=(13)(12)(14)
    (2134)=(12)                  (4123)=(1432)=(14)(13)(12)
   ・(2143)=(12)(34)            ・(4132)=(142)=(14)(12)
   ・(2314)=(123)=(12)(13)      ・(4213)=(143)=(14)(13)
    (2341)=(1234)=(12)(13)(14)   (4231)=(14)
    (2413)=(1243)=(12)(14)(13)   (4312)=(1423)=(14)(12)(13)
   ・(2431)=(124)=(12)(14)      ・(4321)=(14)(23)
    
      4次の交代群A4の元は偶置換だから上記の・をつけた4・3・2・1/2=12個 
   である。すなわち、
       A4={ (1), (123), (132), (124), (142), (134), (143), 
              (234), (243), (12)(34), (13)(24), (14)(23) }    // 戻る 

303-4     //  戻る

303-5   6,4,3 の最小公倍数=12     //  戻る

303-6  
        
    A4の部分群:K={(1),(12)(34),(13)(24),(14)(23)} について、
          e=(1),p=(12)(34),q=(13)(24),r=(14)(23) 
    とおいたときのKの乗積表を左に示す。
  左対角線を軸に対称となり、アーベル群である。 
    また、Kの中に位数2の部分群:{e,p},{e,q},{e,r}
    があることも分る。
                          戻る





練習1:(12)→(12)(12)(12)=(12) は明らか。
      (13)→(12)(13)(12)=(123)(12)=(213)=(132)=(23)
        (23)→(12)(23)(12)=(12)((12)(13)(12))(12)  (上の結果を用いた)
                       =((12)(12))(13)((12)(12))=(13)
        (123)→(12)(123)(12)=(12)((12)(13))(12)
                       =((12)(12))(13)(12)=(13)(12)=(132)
      (132)→(12)(132)(12)=(12)((13)(12))(12)
                       =((12)(13))(12)(12)=(12)(13)=(123)    // 
        すなわち、S3の内部自己同型は全単射であるから同型対応であり、
        S3と一致する。

        したがって、後で述べることになるがS3正規部分群である。
                                              戻る


練習2:f:G → G'(準同型対応) のもとで H:Gの部分群→f(H):G'の部分群
  を示したい。

      それは即ち
       仮定:h1 , h2∈H ⇒ h1・h2-1∈H              (1)
             結論:h'1 , h'2∈f(H) ⇒ h'1・h'2-1∈f(H)       (2)
    を示すことである。

           (2) の仮定より始めて  h'1 , h'2∈f(H) とすると
              h'1=f(h1) , h2'=f(h2)  ( h1 , h2∈H )
           と書ける。
           準同型写像の性質から
            h'1・h'2-1=f(h1)・f(h2)-1=f(h1)・f(h2-1)=f(h1・h2-1)∈f(H)
           
         これで (2) が示せた。                  //戻る


練習3:S3={1,(12),(13),(23),(123),(132)} について、
  交代群A3={1,(123),(132)}の (23)による内部同型置換 を求めると、
       (23)1(23)=1
     (23)(123)(23)=(23)(231)(23)=(23)(23)(21)(23)
                                  =(21)(23)=(213)=(132)
       (23)(132)(23)=(23)(213)(23)=(23)(21)(23)(23)
                                  =(23)(21)=(231)=(123)
    同様に 
     S3 の任意の元a による1,(123),(132)の内部同型置換は 1,(123),(132)に
  1対1で対応する。すなわち、
   S3の任意の元aについてa-1A3a=A3が成り立つからA3は正規部分群である。//


   また、S4 の元例えば(12)による交代群A4の内部同型置換をすると、
  (12)A4(12)=A4が成り立つ。何故ならば、
    A4は偶置換の集合だからS4の任意の元、例えば(12)
      に対してA4(12)、(12)A4は共に奇置換の集合であり、
     A4(12)∪A4=(12)A4∪A4=S4 , A4(12)∩A4=(12)A4∩A4=φ
        ∴A4(12)=(12)A4  ∴(12)A4(12)=(12)(12)A4=A4
    すなわち、
   S4の元aについて a-1A4a=A4 だから A4 は正規部分群である。 //  戻る


練習4:f が全射という意味は: ∀g'∈G',∃g∈G ; f(g)=g'であることをいう。

          ( G'の任意(arbitrary)の元g'に対して f(g)=g'をみたすGの元g
            が存在する(exist) ということ。)

    練習2.でf(H)がG'の部分群であることは示されているから、あとは
    f(H)が正規部分群の条件をみたしていることを示せばよい。

    すなわち
       仮定:g∈G,h∈H ⇒ g-1hg∈H             (1)
          結論:g'∈G',h'∈H ⇒ g'-1・h'・g'∈f(H)   (2)
       を示せばよい。

    (2) の仮定よりはじめて g'∈G',h'∈H とするとfは全射なので
       g'=f(g) (g∈H ),h'=f(h) (h∈H)と書ける。
    準同型写像の性質より
       g'-1・h'・g'=f(g)-1・f(h)・f(g)=f(g-1)・f(h)・f(g)
                         =f(g-1hg)
       仮定(1)よりg-1hg∈Hなので g'-1・h'・g'∈f(H)    //  戻る

          練習.2 と 練習.4 をセットにして考えたらよい。


練習5:a∈aN , b∈bN   ⇒  ab∈abN=aNbN    
       ( すなわちGの演算 ab にG/Nの演算 aNbN が対応している。)
                                                      // 戻る


304-1  [ 群Gの任意の要素aに対して aH=Ha をみたす部分群Hを正規部分群 ]
   というのだから
    G がアーベル群ならば(乗法において可換だから)その部分群 H はGの
   任意の要素 a に対して aH=Ha をみたす。
    ゆえにアーベル群の部分群はすべて正規部分群である。 //戻る
 

304-2  G の部分群 H の指数が 2 ならば G の任意の要素 a に対して
     G = aN∪N  かつ  aN∩N = Φ 
       が成り立つ。
         N は単位元だから Na≠N ゆえに Na=aN 
       したがって指数2の部分群 N は正規部分群である。 // 戻る


304-3   K= H1 ∩ H2 とおくとき G の任意の要素 g に対して gK = Kg を示せば
   よい。

    先ず gK⊂Kg を示す。
         x∈gK とすると x=gk ( k∈K ) と書ける。
         k∈H1 かつ k∈H2 なので gk∈gH1 かつ gk∈gH2 
         H1<G かつ H2<G なので gH1=H1g かつ gH2=H2g
                ∴ gk∈H1g かつ gk∈H2g 
                ∴ gkg-1∈H1 かつ gkg-1∈H2
                ∴ gkg-1∈H1∩H2=K
                ∴ x=gk∈Kg   ∴gK⊂Kg   //    戻る    
        次に gK⊃Kg を示す。
         y∈Kg とすると y=hg ( h∈K ) と書ける。
         h∈H1 かつ h∈H2 なので hg∈H1g かつ hg∈H2g 
          H1<G かつ H2<G なので gH1=H1g かつ gH2=H2g
                       ∴ hg∈gH1 かつ hg∈gH2 
             ∴ g-1hg∈H1 かつ g-1hg∈H2
                 ∴ g-1hg∈H1∩H2=K
                ∴ y=hg∈gK    ∴gK⊃Kg   //     戻る


304-4  H1⊂G , H2⊂G , H1 ∩ H2=K とおく、
       h∈H1,x∈K に対して、H1⊂G だから hxh-1∈H1・・・(i)
              またK⊂H2<G だから hxh-1∈H2 ・・・(ii)
     (i),(ii) より hxh-1∈H1∩H2=K ∴ K = H1∩H2<H1        //戻る

       しかしこの証明はちょっと自信ない。誤りが分かれば修正する。 


304-5    これは H<G の定義そのものである。

     HがGの正規部分群ならば、∀g∈Gに対して gH=Hg が成り立つ。
     ∀g∈G,∀h∈H に対して x = g-1hg とおくと gx = hg∈Hg
          Hg = gH なので gx∈gH ∴ x∈H   ∴ g-1hg∈H    //戻る

         代数の学習はともすれば上滑りになり勝ちである。
     だから兎に角エンピツを持って書いて確かめることをしよう。


304-6  (0) a,b∈G ならば ab∈G ∴Ha・Hb = Hab∈{ H , Ha , Hb , ・・・ } 
                               即ちこの演算について閉じている。
       (1) Ha・(Hb・Hc) = Ha・Hbc = Ha・(b・c) = H(ab)c = Hab・Hc =(Ha・Hb)・Hc
                                    即ち結合法則は成り立つ。
    (2) Ha・H = Ha・He = Hae = Ha , H・Ha = He・Ha = Hea = Ha
                                    即ち単位元は H である。
       (3) Ha・Ha-1 = Ha・a-1 = He = H , Ha-1・Ha = Ha-1・a = He = H
                   即ち逆元は Ha-1 である。

    以上により { H,Ha,Hb,・・・ } は群(剰余群)をなす。// 戻る


304-7  G/N がアーベル群ならば任意の a,b∈ N に対して
               aNbN=bNaN  ∴abN=baN  ∴ab = ba  
    ところで 
    (ba)-1=a-1b-1 だから a-1b-1ab=(ba)-1ab=(ba)-1ba=e∈N // 戻る

304-8  (1) cos(θ12)+isin(θ12)=(cosθ1+isinθ1)・(cosθ2+isinθ2)
         また、cosθ+isinθ=1 をみたすθは cosθ=1 , sinθ=0 より、 

       θ=2nπ  n∈N     //

       (2) x1・x2→|x1・x2|=|x1|・|x2|
      x1・x2→(x1・x2)2=(x1)2・(x2)2
           x1・x2→1/(x1・x2)=(1/x1)・(1/x2)

           いずれも 積に関して準同型対応:f(x1・x2)=f(x1)・f(x2) 

      である。  //                                           戻る
  

305-1 (1)  Imf の任意の2元 x'=f(x) , y'=f(y) に対して

       x'y'=f(x)f(y)=f(xy) , (x')-1=f(x)-1=f(x-1)

           ∴x'y'∈Imf,(x')-1∈Imf ゆえに、Imf はG'の部分群である。//戻る

      (2)  Kerf の任意の2元 x , y に対して、

          先ず、f(x)=e' , f(y)=e' であるから、

       f(xy)=f(x)f(y)=e'e'=e' , f(x-1)=f(x)-1=(e')-1=e'

            ∴ xy∈Kerf ,x-1∈Kerf ゆえに、KerfはGの部分群である。

          つぎに、Gの任意の元 a とKerf の元k にたいして、

       f(a-1ka)=f(a-1)f(k)f(a)=f(a)-1e'f(a)=f(a)-1f(a)=e'

       ∴ a-1ka∈Kerf   ∴ Kerf<G   //戻る
 

305-2 (1)   Imf の定義から明らかである。
                           //戻る

   (2)   f(e)=e' であるが、f が単射ならば、e 以外に e' に

       移る元は存在しない。   ∴ Kerf={e}

            逆に、Kerf={e} とするとき、

        f(x)=f(y) ならば、両辺に f(y)-1 を右乗して、

        f(x)f(y)-1=f(y)f(y)-1 ∴ f(xy-1)=e'

            ∴ xy-1=e  ∴ x=y  したがって f は単射である。 //戻る


305-3  写像 p が全射になることは明らかである。

    さらに、Gの任意の元 x , y にたいして p(xy)=Kxy=KxKy=p(x)p(y)

       が成り立つから、p は準同型写像である。      // 戻る    

          しかし、この事実はほとんど明らかなことである。


305-4  K=Kerf とおき、G/K から Imfへの写像 ψ を Kx →x'=f(x) に

   よって定義するとき、ψ が同型写像になることを示せばよい。


    まず、Kx=Ky とすれば、x=ky ( k ∈K ) とおけるから定義により、

       ψ(Kx)=f(x) =f(ky)=f(k)f(y) = e'f(y) = f(y) = ψ(Ky)

         であるから、ψ は確かに(一意的)写像である。

    逆に、ψ(Kx) = ψ(Ky) とすれば、f(x) = f(y) であるから、

       Kx = Ky したがって、ψ は単射である。

    さらに、Imf の任意の元を x' とすれば、x'=f(x) ( x ∈G ) 

       とおけるから定義により、

             x' = f(x)=ψ(Kx)  したがって、ψ は全射である。

    最後に、 G の任意の2元 x , y にたいして、

       ψ(KxKy) = ψ(Kxy) = f(xy) = f(x)f(y) =ψ(Kx)ψ(Ky)

         であるから、ψ は準同型写像である。

     以上によって, ψ は同型写像である。         // 戻る    


305-5  それぞれ、つぎの準同型写像 f に準同型定理を適用すればよい。

   (1)  f(x)=e ( x ∈G )   (2)  f(x)=x ( x ∈G ) 

     「準同型定理を適用」とは如何なることか?    // 戻る


305-6  K<G ならば、f をG からG/K の上への自然

   な準同型写像とするとき、Kerf=K となる。

   逆は問題305-1(2)から明らかである。   // 戻る

305-7  RからTの上への準同型写像 f : x → ei2πx に準同型定理を

   適用すればよい。

          「準同型定理を適用」とは如何なることか?    // 戻る  


305-8  (1) f の定義域をHに制限すれば、fはHからG'への準同型写像で

     あるから、その像H'はG'の部分群である。

          つぎに、fはGからG'の上への写像であるから、G'の任意の元 a'

          にたいして a'=f(a) ( a∈G ) とおける。したがって、

     (a')-1H'a'=f(a)-1f(H)f(a)=f(a-1Ha)=f(H)=H'  ∴ H'G'       

                                                // 戻る

       (2) G'からG'/H'の上への自然な準同型写像を p' とし、φ= p'・f

     とおけば、φ は G から G'/H' の上への準同型写像になる。

     したがって、その核 H=Kerφ はG の正規部分群になる。

    (3)  (2) の φ に準同型定理を適用すればよい。// 戻る


305-9  H ⊂G , K<G , HK ⊂G だから問304-4 により、H∩K<H

   かつ、問305-4 により

       H/(H∩K) HK/Kを得る。   // 戻る


305-10  G からG/H への自然な準同型写像を p とすれば、第1同型定理

   により、p によって G の正規部分群 K はG/H の正規部分群 K/H に

      移され ,   (G/H)(K/H)G/K    // 戻る 

306-1  S2={(1) ,(23)}の乗積表は e=(1) , p=(23)とおくと、 
  
  右のとおりであり、S2の位数は2。部分群は{e}。

   したがって、S2>{e} であり、S2はアーベル群だから可解群である。 //

     S3については e=(1), a=(132), b=(123), p=(23), q=(13), r=(12) とおくと、
      
      その乗積表は右のとおりである。

   S3の部分群は問303-1で見たとおり
  
   {e,p} , {e,q} , {e,r} , {e,a,b} の4個ある。

  このうち、{e,a,b}={(1),(132),(123)}=A3である。

    S3の位数は6であり、A3の位数は3だから、A3のS3における指数=6/3=2(素数)。

  A3はS3の最大の正規部分群である。

  A3の位数=3 の約数は 3と1 だから部分群はA3と{e}。

  したがって、S3>A3{e} であり、

  剰余群列S3/A3 , A3/{e} の各位数は 2,3(いずれも素数)。

  よって、S3は可解群である。  //       戻る 

     ( つぎの問306-2のS4が可解群であることが分っていれば、S2,S3は
     共にS4の部分群であるから、定理6によりいずれも可解群になる。)

306-2  S4は1234の順列の集合だから元の個数は4!=1・2・3・4=24個。

  S4の半分は偶置換の集合すなわち交代群A4である。問303-3で求めたとおり、

   A4={ (1), (123), (132), (124), (142), (134), (143), 
           (234), (243), (12)(34), (13)(24), (14)(23) } 

   A4の各元に例えば(12)を掛けた集合 (12)A4は奇置換の集合になる。

  ゆえにA4はS4の最大の正規部分群である。

   A4の部分群として K={ (1), (12)(34), (13)(24), (14)(23) } を作る。

   K の各元は共通の数字をもたない互換の積だからKは正規部分群であり、
    ( 注: Kの(1)以外の3個の元に1つの置換を施すということは畢竟1234を
       或る一定の順序に入れ換えることに他ならないのだから、これら
       3個の元以外にはならない。故にaK=Ka,(∀a∈A4) )  
   KのA4における指数が12/4=3(素数)だからKはA4の最大の正規部分群である。
          
     Kの部分群として L={ (1), (12)(34) } をつくると LはKの正規部分群で

  あり、LのKにおける指数は2(素数)だから、LはKの最大の正規部分群である。

   よって、S4の正規列:S4>A4>K>L>e ができる。また、

   剰余群列:S4/A4,A4/K,K/L,L/e(=L)の各位数は 2,3,2,2(素数)であるから、

   S4は可解群である。   //      戻る

306-3 生成元をσとして部分群をすべて求めてみれば、G(全体の群)、E(単位群)
     の他にσ2346を生成元とする巡回群H2,H3,H4,H6が存在し、
     下図のような関係にある。
       

         群の間の数字は指数を示す。たとえば(H2:H6)=3.
         図上でGからEに至る道をもとめて次の3通りの
      正規列が得られる。

        G>H3>H6>E
              G>H2>H6>E
              G>H2>H4>E    
          
戻る 306-4    この論証には自信がない。メモである。後日分り次第訂正する。    H1={1,i,j,k} , H2={-1,-i,-j,-k} とおくと、G={H1,H2} (-1)H1=H2 , (-1)H2=H1 , (-1)H1(-1)=H1 , (-1)H2(-1)=H2  ∴G>H1 かつ、 H1H1=H2H2 , H1H2=H2H1 ゆえにGは可解群である。// 戻る 306-5 ∀aba-1b-1∈G'のとき    G/N がAbel群ならば、ab=ba だから、aba-1b-1=ab(ba)-1=ba(ba)-1=e∈N ∴N ⊃ G 戻る 306-6   暫定解:あとで訂正する。 S3について、e=(1), a=(132), b=(123), p=(23), q=(13), r=(12) とおいて、      対応する2つの元の交換子 x-1y-1xy を  求めて一覧表をつくると、右のようになる。    それ故、S3の交換子群は { e , a , b } すなわちA3に等しい。 表から、交代群A3={ e , a , b }の交換子群は{e}であることが分る。//  一般にアーベル群の交換子群は{e}である。← x-1y-1xy=(yx)-1xy=(yx)-1yx=e  しかし交換子群は{e}であってもその群がアーベル群であるとは いえないことも上の表から分る。← {p,q,r}    戻る 306-7 abcxy の順列が置換(ab)によってbacxyになることを [abcxy](ab)=[bacxy] と表すことにすると、    [abcxy](xab)(byc)(xab)-1(byc)-1=[bxcay](byc)(xab)-1(byc)-1 =[yxbac](xab)-1(byc)-1 =[ybaxc](byc)-1 =[bcaxy] また、[abcxy](abc)=[bcaxy] ∴(xab)(byc)(xab)-1(byc)-1=(abc) // 戻る 401-1 ユークリッドの互除法による。    g を φ で割った商を q1 余りを r1 φ を r1 で割った商を q2 余りを r2 r1 を r2 で割った商を q3 余りを 0 とすると、    g=φ・q1+r1 , φ=r1・q2+r2 , r1=r2・q3        a,b の最大公約数を (a,b) と書くことにすると以上のことから、        r2=(r2,r1)=(r1,φ)=(φ,g) このとき、r2 は g と φ の最大公約数 d である。 ∴ d=r2=φ-r1・q2=φ-(g-φ・q1)・q2 = (1+q1・q2)・φ+(q2)・g  戻る 401-2(1) c0+c1α ci∈k (2) c0+c1α+c2α2 ci∈k (3) c0+c1α+c2αβ+c3β ci∈k (4) cijαiβj ( cij∈k , 0≤i≤2 , 0≤j≤2) (5) cijαiβj ( cij∈k , 0≤i≤3 , 0≤j≤3) 戻る 401-3(1) x4-2x2+9=0 x4-2x2+1=-8 (x2-1)2=-8 x2=1±2i = (+i)2  ∴x= +i , -i , -+i , --i // (2) θ=+i とすれば、θ2=1+2i ∴θ32・θ=(1+2i)(+i)=-2+(4+1)i=-+5i        上の2式より i とをそれぞれ消去して 5θ-θ3=6 , θ+θ3=6i        ∴ =(5θ-θ3)/6 , i=(θ+θ3)/6 // 戻る 401-4 α3-6α2+4α+2=0 ∴α3=6α2-4α-2 両辺にαを掛けて、 ∴α4=6α3-4α2-2α =6(6α2-4α-2)-4α2-2α ( ← α3=6α2-4α-2 ) =32α2-26α-12 //     α64・α2=(32α2-26α-12)・α2 =32α4-26α3-12α2 =32(32α2-26α-12)-26(6α2-4α-2)-12α2 =(32・32-26・6-12)α2-(32・26-26・4)α-(32・12-26・2) =856α2-728α-332 // α3-6α2+4α+2=0 ∴1=α3-6α2+4α+3=(α+1)(α2-7α+11)-8 ∴(α+1)(α2-7α+11)=9 ∴1/(α+1)=(α2-7α+11)/9 ∴α+1/(α+1)=α+(α2-7α+11)/9=(α2+2α+11)/9 // 戻る 401-5 x=1+ とおくと、x-1= ∴ (x-1)2=2 ∴ x2-2x-1=0 // x=2+ とおくと、x-2= ∴ (x-2)3=2 ∴ x3-6x2+12x-8=2 ∴ x3-6x2+12x-10=0 // x=+ とおくと、x2=5+2 ∴(x2-5)2=24 ∴x4-10x2+1=0 // 戻る 401-6 2つの体K1,K2の元の間に1対1の対応があって、     a1←→a2 , b1←→b2 のとき、a1+b1←→a2+b2 , a1・b1←→a2・b2  であれば、K1,K2は同型であるといい、その対応を同型対応という. とくに、体Kのそれ自身への上への同型対応を自己同型対応という. 例えば、     複素数体において、対応:a+bi←→a-bi は自己同型対応である. 戻る 401-7 α,βがk(x)の既約な多項式φ(x)の根であるとき、2つの体     k(α)とk(β)について、      同型の意味については前問でほぼ説明している.       同値であるとはk の元をそれ自身に対応させる対応(つまりkの元を        動かさない対応)でk(α)とk(β)が同型であることをいう.     (だから、同値は同型よりも強い条件である.)        またそのような対応のことをk-同型対応 という. α,βがk(x)の既約な多項式φ(x)の根であるとき、k(α),k(β)    を kに関して互いに共役であるという. また、       k(α),k(β)の元f(α),f(β)をkに関して互いに共役な元という. 戻る 402-1 αをf(x)=0 のk重根とすると、  f(x)=(x-α)kg(x) xで微分して・・・ ∴f'(x)=k(x-α)k-1g(x)+(x-α)kg'(x) =(x-α)k-1(kg(x)+(x-α)g'(x)) // 戻る 402-2 φ(x)がk重根をもてば402-1の考察によってφ'(x)はk-1重根をもつから φ(x)とφ'(x)にG.C.M d(x)が存在するとすればそれはφ(x)より低次である.                              戻る 402-3   γ=cα + β と βj = γ - cαi から cα + β = βj + cαi ∴ c・(α - αi) = βj - β ∴ c(αi-α)+(βj-β)=0  // 戻る 402-4 定理6.の論議の要点は・・・     α,βが満足するk[x]の既約多項式をそれぞれf(x),g(x)とし、 cαij≠cαi'j' のような c を1つとって     γ = cα+β とおけば k(α,β) = k(γ) ・・・ということであるから、 その一般化としての定理7を先ずつぎのように書き直す.     定理7'.(n=2 のときが定理6である.) α12,・・・・・・,αnが k[x]の既約多項式:f1(x),f2(x),・・・・・・,fn(x) の根ならば、 k(α12,・・・・・・,αn)は kの単純拡大である. ただし、αi= αi1i2,・・・・・・,αim , i=1,2,3,・・・,n 証明を考える・・・形式的には以下のようになるだろうか.   n=1 のとき、k にf1(x)の根α1を添加して、k(α1)を得る.     n=2 のとき、k(α1)に f2(x)の根α2 を添加する.           cα1i2j≠cα1i'2j' のような c を1つとって           γ2=cα12 とおけば k(α12)=k(γ2)( 定理6の証明) n=k のとき、k(γk-1)に fk(x)の根αk を添加する.           cγ(k-1)ikj≠cγ(k-1)i'kj'のような c を1つとって           γk = cγk-1k とおけば k(γk-1k)=k(α12,・・・・・・,αk-1k)=k(γk) ∴ k(α12,・・・・・・,αn)=k(γn) //           γn は γn=c1α1+c2α2+・・・・・・+cnαn の形であるが、           c1 , c2 , ・・・・・・ , cn はつぎのように定る.          γ2=b1α12 γ3=b2α23=b2(b1α12)+α3=b1b2α1+b2α23 γ4=b3α34=b3(b1b2α1+b2α23)+α4 =b1b2b3α1+b2b3α2+b3α34 ∴ n=4 のとき、c1=b1b2b3 , c2=b2b3 , c3=b3 , c4=1 以下同様に、 n=5 のとき、c1=b1b2b3b4 , c2=b2b3b4 , c3=b3b4 , c4=b4 , c5=1 戻る