これまでコンクリートはメンテナンスフリーとされ維持・補修に注意を払うことは少なかった。事実、日本最古の鉄筋コンクリートは既に100年を経過して今なお琵琶湖疎水に架かっている。わが国で最初のプレストレストコンクリート橋であった長生橋(石川県:1951~2001年)は架橋から50年を経て解体されたが、コンクリートの中性化や圧縮強度の低下はなくコンクリートの耐久性が実証された。
このように、メンテナンスフリーのコンクリートがいまなぜ早期劣化なのでしょうか。30年たらずで起きた山陽新幹線のコンクリート塊の崩落や塩害は何を語りかけているのでしょう。
わが国は戦後の荒廃した国土から見事に立ち直り、いま文明を享受している。コンクリート神話が崩壊した現在、この文明をいつまで享受できるのか。
アメリカは1970年代半ばから財政難を理由に公共投資を抑制した。その結果、1980年代には、実に45%の橋梁に何らかの欠陥が存在することになった。センセーショナルに『荒廃するアメリカ』と呼ばれた。その後、ガソリン税の値上げなど積極的に道路財源が確保され道路投資額を拡充したが、いまだ25%の橋梁が欠陥のままである。一度病んだ構造物は容易に回復できない。
いま、わが国では公共投資が抑制され、政府は2009年度から道路特定財源を一般化することを約束した。まさに『荒廃するアメリカ』の轍を踏もうとしている。1970年代に大量に生産された社会資本は、2025年に高齢化のピークを迎える。いま、『荒廃する日本』にならないためには、我々はなにをすべきなのか。
当HPでは素晴らしき材料であるコンクリートの信頼を回復するために、次世代を担う技術者のために「コンクリートOnePoint講座」を発信します。
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