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寒中コンクリートの施工ではどのようなことに留意したらよいですか? |
Q06: |
日平均気温が4℃以下となる時期に施工するコンクリートは寒中コンクリートとなり、以下の問題点とその対策が必要となります。
◆問題点と対策
・コンクリート温度の低下
初期凍害が発生しやすいためにAE減水剤の使用と適切な養生対策が必要です。初期養生の方法をQ06図-1に示す。
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Q06図-1 初期養生の方法(日本建築学会資料) |
JASS5では、打ち込まれたコンクリートの圧縮強度が軽微な凍結期で3.5N/mm2が得られるまで、凍結作用期で5N/mm2が得られるまでどのような部分についてもコンクリートが凍結しないことにしている。一方、コンクリート標準示方書では、Q06表-1に示す圧縮強度が得られるまでコンクリートの温度を5℃以上に保ち、さらに2日間は0℃以上保つことを標準としている。
Q6表-1 厳しい気象作用を受けるコンクリートの養生終了時の所要圧縮強度の標準(N/mm2) |
構造物の露出状態 |
断面 |
薄い場合 |
普通の場合 |
厚い場合 |
(1)連続して、あるいはしばしば水に飽和される場合 |
15 |
12 |
10 |
(2)普通の露出状態にあり、(1)に属さない場合 |
5 |
5 |
5 |
Q6表-1にある断面厚さの概ねの目安は、「2007年制定コンクリート標準示方書発刊に伴う講習会・質問と回答」では、断面の薄い場合は20~30cm程度以下、断面の厚い場合は90~100cm程度以上、普通の場合は中間程度としている。
一般に、断熱養生では、サーマルショックによるひび割れを防止するために養生期間の延長が不可欠です。また、加熱養生では、加熱終了後の急激な温度低下を避けるために加熱温度を必要以上に高くしないこと(計画養生温度は5℃以上で、かつ打込み時のコンクリート温度以下)も重要で、場合により鋼材などの温度低下を防止する打設前養生も必要となります。
・ブリージングの増大
表面のW/Cが増加するための強度低下、粗骨材や鉄筋下面に空隙ができやすく圧縮強度や付着強度が低下するために再振動やタンピングを入念に行う。
・凝結、硬化の遅延
沈降ひび割れが発生しやすいために打設速度を遅めにし、再振動やタンピングを入念に行う。 また、強度発現が遅いためAE減水剤(促進形)を使用し、初期強度を促進させることも有効である。なお、凝結時間と外気温の関係についてはQ14を参照
・側圧の増大
型枠のはらみが発生しやすくなるために打込み高さや打込み速度に注意した余裕ある打設計画とする。
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